研究課題/領域番号 |
01570429
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
池田 東吾 九州大学, 医学部, 講師 (50038725)
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研究分担者 |
永田 忍彦 九州大学, 医学部, 助手 (20189137)
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キーワード | 実験的肺線維症 / ブレオマイシン / 肺胞マクロファ-ジ / プロコアグラント活性 / ラット / 肺胞洗浄液 / 線溶・凝固能 |
研究概要 |
肺線維化の過程における線溶・凝固系の関与とその機序を解明する目的で、ラットにブレオマイシンを気管内注入して肺傷害を作成し、投与前、投与後3日、7日、2週、4週、8週後の気管支肺胞洗浄で得られた肺胞マクロファ-ジのもつ線溶・凝固活性を測定した。プレオマイシン投与のラットでは肺胞洗浄液の回収量が減少した。当初、回収量の減少のため測定が困難であったが、少量でも再現性のある測定ができるように技術上の進歩が得られた。肺胞マクロファ-ジのプロコアグラント活性は7日後には対照群の約10倍・2週後には約5倍に上昇したが、4週後では対照群との間に差は見られなかった。 病理組織学的検査では投与7日後と2週後の摘出肺で細気管支周囲を主とした単核球の浸潤と肺胞腔内の浸出液が散在性にみられた。また、肺胞洗浄液上清の蛋白濃度は有意に上昇しており、その電気泳動像は血漿に類似していた。アルブミンも含めた血漿蛋白の肺胞腔内への漏出が亢進していることが示唆され、肺胞腔内での凝固系の異常と血管透過性の亢進が肺でのフィブリン沈着を来す可能性が考えられる。しかし、本研究の結果では肺胞マクロファ-ジのプロコアグラント活性の亢進は一過性であり、この機序が永続的に肺線維化の進展に関与するという根拠は得られなかった。 線溶系のプラスミノ-ゲン・アクチベ-タ-活性については、ラットでの測定も可能なことを確認できたが、肺胞洗浄液の回収量が少なく別途に実験群を組まねばならず、まだ評価し得る例数がそろっていない。本研究の成果は平成2年3月のFLDシンポジウムと同年4月の日本胸部疾患学会総会で発表、投稿原稿も英文論文として推敲中である。しかし、これまでの研究成果は凝固系のみの成績であり、線溶系の評価ができておらず、なお実験の継続が必要である。
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