研究概要 |
気道過敏性は気管支喘息の最も特徴的な病態生理学的異常であり、その機序の解明は気管支喘息発症の解明につながり、根治的治療の確立に役立つと考えられる。近年、軸索反射の気管支喘息への関与が注目されているが、気道に軸索反射が存在する確かな証明は未だなされていない。そこで我々は、モルモットを用いたin vivo,in vitroの実験において、迷走神経末梢に於けるヒスタミン・ブラディキニンの作用機序を検討したところ、以下の成績が得られた。 迷走神経は、ヒスタミン・ブラディキニンによるin vivoにおける気道攣縮およびin vitroにおける気道平滑筋収縮に対し増強作用を有していると考えられた。また、その増強作用には中枢を介さない反応の結果、気道局所の迷走神経末端から放出されるアセチルコリンとともにcーfiber末端から放出されるtachykininが重要な役割を演じている可能性が示唆された。 in vivoの実験では、ヒスタミン・ブラディキニンによる気道攣縮がアトロピン投与により有意に抑制された。これは、ヒスタミン・ブラディキニンが迷走神経末端よりアセチルコリンを放出させ、気道攣縮作用を増強させていることを示している。 in vitroの検討では、迷走神経は気道局所においてヒスタミン・ブラディキニンによる収縮に対し増強作用を有していることが示された。この機序として、ヒスタミンによる収縮は迷走神経末端から遊離されるアセチルコリンが関与し、ブラディキニンによる収縮には軸索反射の結果cーfiber末端から遊離されるtachykininが関与している可能性が強く示唆された。
|