研究課題/領域番号 |
01570433
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研究機関 | 佐賀医科大学 |
研究代表者 |
大田 明英 佐賀医科大学, 医学部, 講師 (40128129)
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研究分担者 |
森戸 文隆 佐賀医科大学, 医学部, 教務員 (20157910)
本村 光明 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (10210098)
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キーワード | 肺線維症 / 膠原病 / 肺胞マクロファ-ジ / コラ-ゲン / コラゲナ-ゼ / サイトカイン / 増殖因子 |
研究概要 |
1.肺線維症(軽度の間質性肺炎を含む)を伴った膠原病患者9例(慢性関節リウマチ4例、強皮症2例、皮膚筋炎1例、混合性結合織病2例)、特発性間質性肺炎1例、および対照としてX線上肺線維症のみられない肺癌患者4例に気管支肺胞洗浄を行ない、得られた肺胞マクロファ-ジを101穴(24穴プレ-ト使用)の濃度で48時間培養した。 2.気管支肺胞洗浄液中のコラ-ゲンとエラスタ-ゼ活性は測定感度以下であったが、コラゲナ-ゼ活性は一部の膠原病患者で認められた。さらに、肺胞マクロファ-ジ培養上清中にはコラ-ゲンは含まれておらず、コラゲナ-ゼ活性とエラスタ-ゼ活性は測定できたが、膠原病患者と対照群との間に有意な差はなかった。 3.肺胞マクロファ-ジ培養上清(細胞蛋白量に応じて濃度を調整)を胎児肺線維芽細胞に加えて培養し、 ^3Hプロリンを用いたハイドロキシプロリンアッセイ法にてコラ-ゲン産生量を測定した。その結果、一部のリウマチ患者、強皮症、皮膚筋炎の患者では、培養上清を加えない場合と比較して有意にコラ-ゲン産生促進効果を示した。対照群でもマクロファ-ジ培養上清中にはコラ-ゲン産生促進効果が認められたが、肺線維症をもつ膠原病患者よりその効果は少なかった。 4.これらのことより、肺線維症をもつ膠原病患者においては肺胞マクロファ-ジが産生する物質が、肺線維化に関係する細胞外基質の合成促進を起こしていることが推測される。今後は、結合織代謝に影響を与えると考えられている種々のサイトカインや増殖因子との関係をみるために、培養上清中のTNFα、TGFβやPDGFの測定、さらにはこれらの抗体をアッセイ系に加えてコラ-ゲン産生への影響をみることで、肺線維化に主要な役割を果たす物質を同定するつもりである。
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