研究概要 |
1.現在まで主としてブタ肺動脈,大動脈の血管内皮細胞を分離培養している。同時に大量の材料(約20頭分の肺動脈,大動脈)を処理し、Primary cultureのうちpureな内皮細胞から成るdishのみmixしてpassage1として実験に供している。これにより若い細胞を大量に得られ,かつ個体差をなくすというメリットを得ている。肺血管に関しては,輸送血管ではなく,真の代謝,ガス交換の場を反映する末梢血管〜肺毛細血管内皮細胞の培養は困難がある。血管の部位差の検討に関しては主として大動脈と肺動脈に関して行うこととした。 2.同種動物血管における部位差について。ブタ肺動脈内皮細胞のACE活性はブタ大動脈内皮細胞の約2.5倍になることを確認した。PGI_2産生能においては両者は大差ないことを確認した。 3.エンドトキシンと同様に血管透過性亢進性肺水腫と考えられるパラコ-トを血管内皮細胞に作用させた際も同様に内皮細胞のPGI_2産生が促進することが確認された。このことより透過性亢進性肺水腫の病態を考える際PGI_2以外の他のcyclooxygenase系,あるいはlipoxygenase系代謝産物も深いかかわりを有すると思われ,その解析を更に進める必要がある。 平成元年度は分離培養の最も適当な方法は何かということを重点的に検討した。すなわち従来より行われている消化酵素による分離は繁雑であり大量の材料を処理できない。よってSurgical bladeで内皮細胞を機械的に剥離する方法を用いることにしたが,それも一頭のみではなく,約20頭分の材料を一度に処理し,個体差を減じ,かつ若い細胞にて実験できることになった。
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