研究概要 |
平成2年度は主としてヒト臍帯静脈内皮細胞を用い実験した。 1.ILー1_α,ILー1_β 10v/ml,1FNーγ 1000v/ml,TNF100v/mlはヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)と24時間インキュベ-トすることにより,トロンビン刺激によるHUVECのPGI_2産生を有意に促進した。一方LPSも同様にトロンビン刺激によるPGI_2産生を高め,何れの場合もHUVECの形態が紡〓形に変化した。 2.HUVECをLPSとインキュベ-トする際,ILー1抗体,TNF抗体を同時に加えても,その後のPGI_2産生に変化はなかった。このことより,LPSによるHUVECのPGI_2産生刺激はサイトカイン(少くともILー1やTNF)を介するものではない。 3.ヒト末梢血より単球を分離し,単球を24時間培養後,そのPost culture medium(PCM)にてHUVECを更に24時間培養すると,トロンビン刺激によるHUVECのPGI_2産生は有意に促進し,LPS(1ug/ml)にてHUVECをインキュベ-トした後のPGI_2よりもはるかに多量のPGI_2が産生された。一方LPSと単球を同時に培養し,24時間後のPCMにて内皮細胞を更に24時間培養したが,その後のトロンビン刺激によるPGI_2の産生は単球単独のPCMで培養した場合に比して大きな差異はなかった。すなわちLPSによる相乗或いは相加作用は認められなかった。 4.単球のPCMによるHUVECのPGI_2産生刺激はtime dependentである。すなわち3,8,16,24時間単球を培養後のPCMにて内皮細胞を培養すると,単球のincubation timeが長い程,HUVECのPGI_2産生が高まる結果がえられた。 5.今後この単球のPCMによるHUVECのPGI_2産生刺激がサイトカインを介するものであるのかどうか等検討をすすめる。
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