研究分担者 |
水内 厚 東京都老人総合研究所, 基礎病理部, 研究員
久保井 礼 東京都老人総合研究所, 基礎病理部, 研究員
平塚 知子 東京都老人総合研究所, 基礎病理部, 研究員
水内 知子 東京都老人総合研究所, 基礎病理部, 研究員
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研究概要 |
肺葉切除後における残存肺の代償再生は年齢依存性であるといわれている。これまでの大部分の研究では成熟動物が実験に使用されていたため年齢の影響を明確にし得ないと考えられた。そこで本研究では生後2週目の幼若ラットに肺葉切除術を施行,残存肺における再生機序を検討した。残存肺の湿重量は術後1週目にて切除群(P群)の残存肺が対照群(C群)の両肺に一致。一方,肺容量は術後3週目で一致した。形態計測によって組織学的にも代償が行なわれていることが判明した。抗Brdu抗体によりS期細胞を同定した処,術後1日目ではP群の胸膜中皮細胞の摂取がC群よりも有意に多く,次いで2日目では内皮細胞,間貭細胞の摂取増加をみた。残存肺組織中のDNA polymerase活性はP群で術後1日目に鋭い増加を認め,その活性はC群の51%増(p<0.01)であった。更に術後1週目に再度活性上昇をみた。これは先の活性の68%であった。DNA量は,P群がC群に比して術後3日目より1週目までに著明な増加がみられた(31.6%,p<0.01)。術後3週目にはP群残存肺とC群両肺のDNA量は一致し,細胞数での代償が示唆された。elastin含有量は比例して増加傾向を示し,P群では術後3週目で1週目の約1.5倍となった。肺乾燥重量当りのelastin含有量をみると,術後の経過時間に無関係にP群,C群とも一定であった。collagen含有量にもelastinと同様の傾向がみとめられた。
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