歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(以下DRPLAと略す)の遺伝性について文献的考察を行い、DRPLAは不完全浸透率を伴う常染色体優性遺伝病である事、その平均発症年齢は33であった(神経研究の進歩、1990年)。 続いて、DRPLAの遺伝子座位決定のために、全国の大学病院神経内科、精神科並びに国立病院を受診中のDRPLA患者とその家族、診療グル-プの協力を得て、5家系37人の末梢血リンパ球をEpstein-Barrvirusを用いて株化し、今後の遺伝子研究のために保存した。 遺伝子座位決定には既知の遺伝子座との連鎖検定の方法を用いた。初めにDRPLAの臨床症状とHuntington舞踏病のそれらの類似性に基づき、Huntington舞踏病と密に連鎖したDNAprobeを用いて、Lod scoreを算出した。その結果、遺伝子距離が12.5CM以上離れていることから、DRPLAはHuntington舞踏病とは異なる疾患である事が確率された(J.Med Genet.1990)。 次いで、MYCLprobe(1p32)、MYCN(2p24)、D_2S_<44>、D_<13>S_2、D_<13>S_3、D_<14>S_1、D_<20>S_4、D_<20>S_5、D_<20>S_6)と命名されているDNAprobeを用いて連鎖解析を行った結果、いづれのDNAprobeとも連鎖はみられず、DRPLA遺伝子座を1番、2番、13番、14番、20番染色体上の遺伝子座から除外する事ができた。今後、更に家系例を増加し家系員のリンパ球の保存のために株化を行い、より高い連鎖解析のLodscore値を得るように計ると共に、遺伝的多型を示すDNAprobeを増やして、詳細な遺伝子座位の検討を行っていく予定である。
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