2'、3'-環状ヌクレオチド3'-フォスフォジエステラ-ゼ(CNP)は中枢神経系のオリゴデンドログリア特異酵素として知られる。本年はマウスCNPのcDNA及び遺伝子DNAをクロ-ニングし、CNP遺伝子の構造を明らかにした。マウス脳cDNAライブラリ-から2374bpのマウスCNPcDNAを得た。cDNAから推定されるマウスCNPタンパクのアミノ酸残基数は400で、アミノ酸配列はウシとは83%ヒトとは85%のホモロジ-を示した。cDNAはHindIIIで3つに切断し、マウスCNP遺伝子を解析するためのプロ-ブとして用いた。マウス遺伝子ライブラリ-から9個の独立クロ-ンが得られ、そのうち少なくとも7個が同一遺伝子に由来すると考えられた。7個のうち3つのcDNAプロ-ブのいずれとも反応する2個のクロ-ン(クロ-ン071及び201)を選びさらに解析を進めた。その結果、マウスCNP遺伝子の全長は約6kbpで、2つのイントロンにより3つのエクソンに分断されていることが判明した。翻訳開始点から約430bp上流にTATAボックスのコンセンサス配列(TATATAA)が見出され、プライマ-伸長法及びSIヌクレア-ゼ法で転写開始点はTATATAAから27bp下流のヌクレオチド-398であると結論された。サザンハイブリダイゼイションのバンドはすべてクロ-ンの071と201の断片に対応していて、マウスCNP遺伝子はハプロイドあたり1個と結論された。以上のようにCNP遺伝子の構造が明らかになった。本研究はCNP遺伝子の発現調節機構の解明に道を開くとともに、CNP遺伝子を用いて神経系における細胞特異的な遺伝子発現の研究に役立つものと期待される
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