研究課題/領域番号 |
01570452
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経内科学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
荒木 淑郎 熊本大学, 医学部, 教授 (40068961)
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研究分担者 |
池川 真一 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (70202877)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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キーワード | 家族性アミロイドポリニュ-ロパシ- / トランスジェニックマウス / アミロイド線維 / トランスサイレチン / プレアルブミン / アミロイド-シス / 末梢神経 / イムノブロット |
研究概要 |
昨年に引き続き、家族性アミロイドニュ-ロパシ-(FAP)の病因解明の目的で、FAPの原因蛋白と考えられている異型プレアルブミン(別名トランスサイレチン:TTR)遺伝子を導入したトランスジェニックマウスについて検討を行い、次の結論を得た。 1)DNA解析、イムノブロット法を用いてスク-リングをしながら、約100匹のトランスジェニックマウスを飼育した。 2)トランスジェニックマウスを各年齢毎に屠殺し、各臓器のアミロイド沈着を検討した。アミロイド沈着は生後約6カ月より始まり、小腸、腎、心、甲状腺及び、全身の小血管周囲に認められた。アミロイドは抗ヒトTTR抗体に染まり、ヒト遺伝子導入によるものと考えられた。電顕にてもヒトFAPと同様の細線維構造が確認された。ヒトFAPと異なり、末梢神経への沈着は認められず、末梢神経の病的変化は認めていない。 3)トランスジェニックマウスに沈着しているアミロイド線維蛋白をマウスの腎よりプラスらの方法で抽出し、コンゴ-赤染色と電顕にてアミロイド線維の確認を行った。得られた細線維をSDS電気泳動で分画したところ、主に15KDのTTRと同様の分子量を示した。イムノブロット法で抗体との反応性を検討したところ、ヒトTTRに陽性を示し、抗マウスSAAには染まらず、ヒトFAPと同様の生化学的性状を示した。 4)アミロイド線維成分の10%を占めるSerum Amyloid Pcomponent (SAP)の関与を調べる為、上記トランスジェニックマウスにエンドトキシンを腹腔内投与し、腹膜炎を誘起し、アミロイドの沈着様式を検討したが、沈着開始時期、及びその様式に変化はなかった。 以上の結果より、FAPの発症に異型TTRは必要条件であり、この異型TTRを導入したトランスジェニックマウスはFAPのモデルマウスとして有用であると思われた。更にこのマウスを用い、アミロイド沈着に関与する因子(温度、食物、毒物など)を検討している。
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