研究概要 |
ド-パミン神経細胞の形質を有し増殖能を持った均一な細胞株を確立することを目指した。 1。方法(1)Hybridization C57/BLマウス胎生14日embryoから得た細胞浮遊液をneuroblastoma(N18TG2)細胞と混合しpolyethylene glycolにて細胞融合を行なった。その後HAT培地にて培養し、cell cloningを行なった。(2)immunohistochemistry ABC法を用いてcell lineの細胞を免疫組織染色した。一次抗体はNeuronーspecific enolase(NSE),Tyrosine hydroxylase(TH).5ーHydroxytriptamine(5HT).Glial fibrillary acidic protein(GFAP)に対する抗体である。THと5HTは二重染色もした。(3)cell lineの細胞の生化学分析をNeurochemを使って行なった。(4)cell lineの細胞にTHのmRNAが発現しているかどうかをアルカリフォスファタ-ゼにて標識されたTHのオリゴヌクレオチドプロ-ブを用いてin situ hybridizationを行なった。(5)cell lineの細胞の染色体を数えた。 2。結果(1)NSE,TH,5HTを発現しているcell line(NTK6ー39)が得られた。(2)cell lineの細胞では生化学的に5Htの含量が増加していた。二重染色で同一細胞にTHと5HTが発現することが確認できた。cell lineの細胞には形態にばらつきがあり、染色性も違っていた。均一の細胞の培養を試みたが不可能であった。(3)NTK6ー39の細胞にはTHのmRNAが発現した。(4)融合させた細胞の染色体数からするとNTK6ー39は染色体数が109あるはずであるが数えてみると79しかなかった。 3。考案ド-パミン神経細胞とセロトニン神経細胞の両者の性質を持った細胞株が確立できた。しかし、cell lineの細胞は均一でなく、免疫染色でもTHおよび5HTの染色性は細胞によって大きな違いがみられた。今後はこのcell lineを用いて神経栄養因子や神経毒の作用を研究する予定である。
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