研究分担者 |
松本 晃裕 東京大学, 医学部(病), 医員
山下 尋史 東京大学, 医学部(病), 医員
大谷 余志 東京大学, 医学部(病), 助手
芹澤 剛 東京大学, 医学部(病), 助手 (90143429)
飯塚 昌彦 東京大学, 医学部(病), 助教授 (70010379)
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研究概要 |
本研究の目的はβ刺激薬およびβ遮断薬の長期投与の心不全に対する効果を実験的に多角的に検討することにあった。一年目はとくに上記薬剤の心筋β受容体や心肥大への影響に焦点をあてた研究を行った。1.まず予備実験として生後33週の心筋症ハムスタ-にβ遮断薬であるメトプロロ-ル0.1mg/kgを8週間にわたり投与し,心筋β受容体,心重量等を測定した。その結果メトプロロ-ル投与群では非投与群に比してβ受容体数は増加しイソプロテレノ-ルに対する解離定数は増大していることがわかった。また興味深いことに心重量,左室重量はいずれもメトプロロ-ル投与群では増大していた。心重量が増加したことについては,それが残存正常心筋組織の増加のためか,さらに心拡大が進行したためかは現時点では不明で心機能評価を含めた来年度の研究が期待される。2.次に本来予定していたプロトコ-ルに従いβ遮断薬メトプロロ-ルおよびβ刺激薬デノパミンを生後8週より20週まで投与を行った。1と同様メトプロロ-ル投与群ではβ受容体は増加傾向。またデノパミン投与群では減少傾向にあった。心重量,左室重量はメトプロロ-ル群では1とは異なり減少傾向,デノパミン投与群では増加傾向となっている。病理学的検討も現在加えつつある。 以上現時点までに得られた結果からはβ遮断薬投与により,その時期にかかわらずup regulationが起きることが確認できた。しかしβ遮断薬の心肥大に及ぼす影響については投与時期により異なることが示唆された。またβ刺激薬についてはβ受容体のdown regulationを促進することが確認された。来年度はこれらの薬剤の長期投与の心機能に及ぼす影響を中心に同様のプロトコ-ルにより検討する予定である。
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