研究概要 |
心筋でもATP依存性K電流が同定され、この電流が虚血時などの不整脈発生に関与することが指摘されている。今回糖尿病での不整脈出現の成因を検討するため、糖尿病状態で本電流の変化を調べた。材料は遺伝性肥満ラットを用い、糖尿病(DM)ラット作成にはストレプトゾトシン(STZ)20〜50mg/kg1回投与した。投与後数回で血糖値は上昇したが、24週後、血糖値は3〜5倍になり、体重は20〜40%減少した。この時期に対照と糖尿病ラットでLucifenn-Luciferase法でATP,ADP,AMP,CPを測定した。ATP含量はDIMラットで蛋白あたり、6.8±1.6μg/mg、対照ラットで8.3±1.2μg/mgとDMラットで有意(P<0・05)に減少していた。ATP減少をみたが心室活動電流では、静止電位、持続時間には有意差を認めなかった。コラゲナ-ゼ処理による単一心筋細胞を作成し、whole cell patch configulationを用いて、ATP感受性K電流を測定した。細胞内外を同一にした高K濃度下で、inside-outパッチで、細胞内膜表面をATPfreeで灌流するとKチャンネルが開口した。+50〜-100mVの範囲で電流ー電圧曲線は直線で、逆流電位は0mV、そのスロ-プコンダクタンスは対照ラットで80±24pS、糖尿病ラットで72±18pSとまし、後者で小さかったが両者間には有意差はなかった。ATP感受性Kチャンネルは2mMATPでは完全にその活動は停止し、ATPfreeで開口し、可逆的変化を示した。異なるATP濃度0、0.5、1、2mMに対する開口確率はS字状を示し、対称と糖尿病状態で有意差なく、抗糖尿病薬グリベンクラマイド0.5〜1μMでもその抑制に有意差がなかった。ATP含量はDMラットで減少をみたが、ATP依存性Kチャンネルは糖尿病状態でその病状態で有意差なく、抗糖尿性状が変化していることが示唆された。
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