研究課題/領域番号 |
01570494
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
矢永 尚士 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (80038702)
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研究分担者 |
矢野 健一 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (60230281)
畑 知二 九州大学, 生体防御医学研究所, 助手 (90198739)
牧野 直樹 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教授 (60157170)
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キーワード | 再潅流不整脈 / Na^+ーK ATPaes / 活性酸素 / 潅流ラット心 / 膜脂質過酸化 / 活性酸素消去剤 / 心筋細胞膜 / 心筋カルシウム |
研究概要 |
再潅流不整脈の発生には再潅流直後より増加するカルシウム(Ca^<2+>)が重要であることは平成元年度に報告した。平成2年度では、再潅流中に発生する活性酵素と再潅流不整脈の関係について検討した。既に、心筋の虚血の後に再潅流を行なうと活性酸素が心筋細胞、血管内皮細胞好中球より大量に発生することが知られている。今回、種々の活性酸素消去剤を再潅流の直前より投与し、不整脈の発生を予防出来るか、又再潅流に伴う心筋収障害が改善するか検討した。実験はラット摘出潅流心モデルを用いて行なった。左冠動脈を30分間完全狭窄した後、直に狭窄を解除し20分間観察した。実験中は心拍数を固定し、心電図左室圧およびdp/dtを連続記録した。活性酸素の消去剤として、ス-パ-オキシドジスムタ-ゼ(SOD)剤、アロプリノ-ル(APN)を、抗不整脈剤としてリドカイン、プロプラノロ-ルを用いた。再潅流中に検出される心室頻拍(VT)、心室細動(VF)の発生頻度はSODやAPNの再潅流中の投与では非投与に比較し差を認めなかった。しかし、上記の心室性不整脈の持続時間は活性酸素消去剤の投与で有意に短縮効果を認めた。一方、再潅流20分後の心筋収縮能にはSOD剤の投与、非投与において差を認めなかった。同様に心筋組織中の高エネルギ-燐酸化合物にも有意差はなかった。しかし、SOD剤の投与により心筋組織中のNa,K ATPase活性や膜脂質過酸化の程度は非投与に比べ改善した。以上より、平成2年度において行なった結果より、再潅流中にみられる不整脈に対し、活性酸素消去剤は不整脈の持続時間を軽減した。一方、これらの投与では心筋収縮能の改善は認めなかった。以上の事実より、活性酸素は再潅流に出現するが、不整脈の発生には活性酸素の他に他の因子も考慮されるべきだと思われた。
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