研究概要 |
虚血性心疾患患者で,カテ先ドプラ血流計を用いて、冠動脈の血流波について検討を行った。対象としては、冠動脈造影にて左前下行枝のSeg7に有意の狭窄を有する一枝病変患者とした。心臓カテ-テル及び冠動脈造影を終了後にミラ-社製カテ先ドプラ血流計をSeg6まで挿入し,安静時のこの部の冠血流波を記録した。続いて、臥位のまっ足こぎのエルロメ-タ-でsymptom limitedで行い,この時の同部の冠動脈血流波の変化を記録した。また,この際,心拍数,収縮期血圧,拡張期血圧,肺動脈楔入圧,心拍出量について,負荷前後で測定した。さらに、コントロ-ルとして,正常冠動脈例7例についても同様の測定を行った。 (結果) 現在迄,上記のプトコ-ルにより測定し得た虚血性心疾患例は8例であり,以下の結果を得た。運動負荷により心拍数は増加し,収縮期及び拡張期血圧は上昇,脈圧の増大,肺動脈楔入圧の上昇,心拍出量の増大がみられた。冠血流波形は,正常例では収縮期の小さなS波と拡張期の大きなD波がみられた。各症例で収縮期のS波の下の面積Sと拡張期のD波の下の面積Dをプラニメトリウムで測定し,全血流に占める収縮期血流の割合(S/S+D)を求めた。 虚血性心疾患患者では,S/S+D比は,正常者に比べ大であり,狭窄が強い程,大なる傾向がみられた。運動負荷後の変化については,運動中はカテ先ドプラ血流計の先端が動いたり,血管壁に触れたりして,現在の所一定した良好な記録例が少ないため,結論を言えるデ-タは得ていない。この運動負荷時の記録については,現在測定方法その他について考慮し,改良中である。
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