研究課題/領域番号 |
01570517
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
榊原 洋一 東京大学, 医学部・(病), 講師 (10143463)
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研究分担者 |
斉藤 真木子 東京大学, 医学部・(病), 助手
小島 美由紀 東京大学, 医学部・(病), 助手 (60205391)
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キーワード | 膜流動性 / 脳変性疾患 / 蛍光異方性 / アルツハイマ-病 / レット症候群 / 血小板 / トリグリセリド / 動脈硬化 |
研究概要 |
本研究の目標は、脳変性疾患における神経細胞膜の膜の流動性の変化の検討であった。初年度は、膜流動性測定法の確立を目標とし、ジフェニルヘキサトリエンをはじめとする数種類の膜流動性のプロ-ブを使いその蛍光異方性を応用した方法での測定が可能となった。また、測定対象として、培養神経系細胞だけでなく、血小板、赤血球も検討した。さらに、ホモジェネ-ト後の膜の断片ではなく、生きた細胞(培養グリア)での流動性の測定も可能になった。次年度より、この確立した方法を使って、培養グリア細胞の低酸素状態による膜流動性変化、脳変性疾患患者の血小板膜流動性の変化に検討を加えた。その結果、まず低酸素でゲリア細胞の膜流動性が低下する傾向が見いだされたが、腫瘍細胞であるため低酸素負荷による細胞の障害が大きいためか、再現性の上で問題があることが明らかになった。ついで、アルツハイマ-病患者ならびにレット症候群患者の血小板の膜流動性の検討を行い、アルツハイマ-病患者の血小板膜流動性が、通常の老化に伴ってみられる変化と逆に増加していることが示された。この結果は、「神経内科」誌に発表の予定である。レット症候群ではそのような変化は認められなかった。 3年度は、アルツハイマ-病患者の血小板膜流動性変化の検討の際に気づかれた食事に伴う、血小板膜流動性の変化を詳しく検討した。食後に血小板膜流動性は増加するが、食前後の血清成分の比較から、血清中のトリグリセリド濃度変化が、膜流動性変化と相関することが分かった。さらに、血小板を一定時間高濃度トリグリセリドと共に培養すると、膜流動性が大きく増大することが示された。血小板膜流動性は、血小板膜のレセプタ-機能に影響するのみでなく、血小板凝集能、粘着能に大きな影響を与えることが分っており、動脈硬化の進展にも関与している可能性が示された。
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