研究課題/領域番号 |
01570517
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
小児科学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
榊原 洋一 東京大学, 医学部(病), 講師 (10143463)
|
研究分担者 |
斉藤 真木子 東京大学, 医学部(病), 助手 (20225733)
小林 美由紀 東京大学, 医学部(病), 助手 (60205391)
|
研究期間 (年度) |
1989 – 1991
|
キーワード | 老化 / 膜流動性 / 血小板 / アルツハイマー病 / レット症候群 |
研究概要 |
細胞膜は、細胞の内外や細胞内小器官の境界となすのみならず、酵素反応、シグナル伝達、物質転送など主要な細胞機能の場となっている。神経機能を支えるシナプス伝達も、細胞膜を介して起るが、細胞膜の物質的性質がシナプス伝達に与える影響についてはあまり知られていない。本研究では、膜の物理的性質の中で比較的良く研究されている膜流動性が、老化や脳変性疾患によってどのように変化し、またその変化が神経機能に与えるのか、という点について検討した。 初年度は、ジフェニルヘキサトリエンをプローブとした、蛍光異方性による膜流動性測定法の確立を目ざした。神経細胞を多くのレセプターと共有する血小板(ヒト)と、ラット脳シナプトソームを用いて、それぞれの膜流動性の正常値を求めた。 2年度は、アルツハイマー病ならびにレット症候群の患者血小板の膜流動性を測定した。レット症候群では、正常コントロールとの間に差は認められなかったが、アルツハイマー病患者由来の血小板では、その膜流動性が、有意にかつ著明に上昇していることが明らかになった。近年アルツハイマー病患者のアポ蛋白Eの異常が明らかになったが、それが血小板膜流動性上昇の原因である可能性があり、興味が持たれるところである。 最終年度は、脳サンプルの入手が困難であったため、アルツハイマー病患者の血小板膜流動性測定の際に気付かれた。血漿トリグリセリドと血小板膜流動性の関係について検討を加えた。その結果、トリグリセリドは高濃度で血小板膜流動性を上昇させ、凝固能を低下させることが明らかになった。その機構として、トリグリセリドエマルジョンが、血小板膜からコレステロールを引き抜く働きが関与していることも明らかになった。
|