研究課題/領域番号 |
01570530
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
松尾 雅文 神戸大学, 医学部, 講師 (10157266)
|
研究分担者 |
佐野 公彦 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (40205993)
上谷 良行 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (40168620)
中村 肇 神戸大学, 医学部, 教授 (40030978)
|
キーワード | 未熟児 / 細胞増殖因子 / イノシト-ル |
研究概要 |
細胞増殖因子の細胞膜受容伝達機構が解明されるにつれ、イノシト-ルリン脂質が細胞増殖因子の作用発現に必須のものであることが明らかにされている。イノシト-ルリン脂質の構成成分であるイノシト-ルは細胞増殖因子の細胞内作用伝達物質として注目を集めつつある。さらに、イノシト-ル自体が有する細胞増殖作用も再評価され始めれている。 本研究者らは未熟児・新生児の細胞増殖機構について発育との関係に重点をおき解析してきた。そして、発育障害未熟児で細胞増殖因子の1つであるInsulin like growth factor1の血中存在様式を解析し、その存在様式に異常を有する例を世界で初めて明らかにした。この事は、細胞増殖因子が未熟児の発育に重要な役割を担っていることを示すものであった。 一方、イノシト-ルが細胞増殖に重要な役割を果たしていることを示す研究結果を得た。すなわち、羊水中のイノシト-ルの濃度および未熟児の血中イノシト-ル濃度は在胎週数が短い程高値で、在胎週数が進むに従いいずれの試料においてもその濃度は低下することを明らかにした。細胞増殖期にイノシト-ルが高くなることは、未熟児では細胞増殖にイノシト-ルが重要な役割を果たしていることを示唆している。 現在、実験的にイノシト-ルの胎児・未熟児の発育分化に及ぼす効果を調べるため、発育・分化のモデルとして肺でのサ-ファクタント合成能を指標として用いる系を樹立しつつある。ここでは、肺胞細胞を培養し培養液中のイノシト-ル濃度を変化させ、そのサ-ファクタント合成速度等におよぼす効果を明らかにしつつあり、その成果は未熟児の治療に新しい観点を開くことが期待される。
|