研究者らはミオイノシト-ルの有する成長因子作用に注目し、その未熟児治療への応用に関して基礎的研究を昨年度に引き続き実施してきた。 昨年度、研究者らはガスクロマトグラフィ-を用いたミオイノシト-ルの測定法を確立し、羊水中のミオイノシト-ルの解析を行った。本年度においては、未熟児の血中ミオイノシト-ルを測定した。その結果、未熟児血中ミオイノシト-ルは在胎週数が短かい程高い傾向にあることを明らかにしました。これは、ミオイノシト-ルが未熟児の成長に大きく関与していることを示唆するものでありました。 このミオイノシト-ルの成長因子作用を生化学的に明らかにするためその遺伝子に働らく作用をメッセンジャ-RNA(mRNA)を定量する測定系の開発を試みた。mRNAを逆転写酵素の作用によりcDNAとし、cDNAをPCR法により定量化するものである。この方法の有用性をまず確認するため、研究者らはこの方法をDuchenne型筋ジストロフィ-(DMD)患者のmRNAの解析に応用した。研究者らの発見しましたDMD神戸の患者で、筋肉内のmRNAを先の方法で解析した。その結果、この方法がmRNAの解析に極めて優れた方法であることを確認しました。さらに、DMD神戸患者ではジストロフィィン遺伝子欠失がmRNAの成熟に異常を生じ、エクソンのスキッピングを生ずるということを世界で初めて明らかにしました。 今後、今回確立したmRNA解析法を応用し、ミオイノシト-ルの成長因子作用を生化学的に明らかにする予定であります。
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