研究概要 |
免疫不全状態におけるHHVー6の病原性を検討するための基礎デ-タとして,HHVー6においても他のヘルペスウイルス同様,再活性化や再感染がみられるかを検討した。その結果,突発性発疹再罹患例の23例中の3例,および無熱性発疹症の既往のある突発性発疹患児5例中2例で,ペア血清でのHHVー6IgG抗体価の有意上昇がみられ,このうち3例でHHVー6IgM抗体が検出された。この結果より,本ウイルスでも再活性化または再感染がおこり得ることが示唆された(Pediatr Infect Dis J,印刷中)。 未熟児室に1年以上入院している児4例のHHVー6抗体を測定したところ3例が抗体陽性であった。また,その母親は全て抗体陽性であった。未熟児室の環境では他の児や成人との濃厚な接触はなく水平感染の機会は極めて少ないとより,この3例は出生時ないしそれ以前にHHVー6の垂直感染を受けていた可能性が示唆された。 HHVー6の正確な顕性感染率を知るために,小児科医の1歳以上の子弟113名の突発性発疹罹患調査を行った。その結果,70名(62%)が本症に罹患しており,欧米で報告されている約30%と比較して高い罹患率を示すことが明らかになった。一歳以上では突発性発疹の既住がかくてもほぼ100%の児がHHVー6抗体陽性であることから(J Infect Dis,159,750ー752),この数字はわが国におけるHHVー6の顕性感染率を示すものと考えられた。
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