研究概要 |
血清学的にHHV-6の感染が証明された突発性発疹47例の罹患時期は、6カ月をピークとしその前後3カ月に集中しており、母体由来のHHV-6抗体の消失時期(J Infect Dis 159;750-2)に一致していた(小児科31;105-111)。また、母子の追跡調査中に見い出した突発性発疹早期罹患例3例は、いずれもHHV-6抗体陽転が証明され、その母親は全てHHV-6抗体陽性であった。これらの成績は、突発性発疹の罹患時期が母親由来のHHV-6抗体の消失時期によって規定されていることを示唆するものと思われた。 新生児集中治療室(NICU)に1年以上入院している児6例のHHV-6抗体を測定したところ、5例が抗体陽性であり、その母親は全て抗体陽性であった(First International Herpesvirus Symposium,June 1992,Osaka)。また、大分県のA孤児院に生後3カ月未満で入所した小児25名のHHV-6抗体を測定したところ、1歳以上の21名は全て抗体陽性、残る4名(3〜5カ月の乳児)は抗体陰性であり、一般の乳幼児集団と同様の感染状況であった。これらの成績より、母親との密接な接触がなくても小児期のHHV-6感染が成立しうることが示唆された。 免疫不全状態におけるHHV-6の病原性を検討するための基礎データとして、HHV-6においても他のヘルペスウイルス同様、再活性化や再感染がみられるかを検討した。その結果、突発性発疹再罹患例の23例中3例、および無熱性発疹症の既往のある突発性発疹患児5例中2例で、ペア血清でのHHV-6 IgG抗体価の有意上昇がみられ、このうち3例でHHV-6 IgM抗体が検出された。この結果より、本ウイルスでも再活性化または再感染がおこり得ることが示唆された(Pediatr Infect Dis J 10;468-470)。 小児科医の1歳以上の子弟113名の突発性発疹罹患調査を行ったところ、70名(61%)が本症に罹患しており、欧米の報告(約30%)に比し高い罹患率を示した(First International Herpesvirus Symposium,June 1992,Osaka)。
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