研究概要 |
遺伝子組換え型ヒトG-CSF(以下rhG-CSF)に対するマウス骨髄単球性白血病細胞WEHI-3B-Y1のclonal responseについて無血清軟寒天培養系(Ham'sF-12培養液、0.3%agar、250μg/ml human trans-ferrin、1% BSA)を用いて検討した。rhG-CSF添加により濃度依存性にWEHI-3B-Y1コロニ-数の著明な増加傾向がみられ、1,000単位/ml添加時には約185%の増加が認められた。また、培養皿内のWEHI-3B-1細胞を段階的に増加させ、さらにrhg-CSF(1,000単位/ml)添加によりコロニ-数を増加させるに従い、培養皿内のコロニ-数が2.700個以上では、構成細胞のmigrationが誘導され拡散型コロニ-の割合が約80%まで増加した。拡散型コロニ-の構成細胞では形態学的分化傾向(esterase二重染色、orcein染色にて確認)が認められた。しかしながら培養皿内にWEHI-3B-Y1細胞が100個の培養条件下では、rhG-CSFを100単位/mlから5,000単位/mlの濃度まで添加しても分化型コロニ-は観察されなかった。 われわれは血清の影響の除外し、造血因子単独の作用をみるために無血清軟寒天培養系による検討を行った。培養皿内のWEHI-3B-Y1細胞が100個の培養条件下では、rhG-CSFを5,000単位/mlの濃度まで添加しても分化型コロニ-は観察されず、WEHI-3B-Y1細胞の分化誘導は認められなかった。しかしながら、培養皿内のコロニ-数が増加するに従い、分化型コロニ-の増加が認められた。今回の検討結果より、遺伝子組換え型ヒトG-CSFによるWEHI-3B-Y1細胞の分化誘導は、その直接作用ではなく、G-CSFによるWEHI-3B-Y1由来コロニ-数の増加に伴う二次的な分化自己誘導の結果であることが示された。
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