研究概要 |
遺伝子組換え型ヒトGーCSFと抗腫瘍剤のMitoxantrone(MIT)による分化誘導併用効果について検討した.無蛋白培養系におけるWHEIー3BーY1細胞の増殖・分化の検討では,Ham's Fー12培養液に2×10^4/mlのWEHIー3BーY1細胞を浮遊させ,MIT(1×10^<-5>〜1×10^<-14>M)またはGーCSF(1〜10,000units/ml)を添加,あるいは両者を添加し液体培養した.培養は37℃,5%CO_2を含む培養器の中で行われた.培養終了後,Cytospin標本を作製し,WrightーGiemsa染色を行い形態学的分化の有無について検討した.またesterase二重染色を行い,その染色性の増強の有無についても検討した.GーCSF,MIT添加時のWEHIー3BーY1細胞の形態学的検討では,無蛋白培養条件下においては,GーCSF(1〜10,000units/ml)の単独添加で,細胞の形態学的分化誘導は観察されなかった.培養6日目まで検討したが,無蛋白で低細胞濃度の条件下においては,GーCSFによる分化誘導は認められなかった.MIT単独添加時には,培養3日目には主として後骨髄球様細胞までの形態学的変化が認められ,これは5×10^<-8>Mにおいて最も強く認められた.GーCSF(1,000units/ml)およびMIT(5×10^<-8>M)の両者添加時には,培養3日目には主として成熟顆粒球様細胞までの形態学的分化誘導が認められ,ASD chroloacetate esteraseの染色性の増強傾向も認められた.GーCSF,MIT添加時のWEHIー3BーY1細胞のNBT還元能に関する検討では,GーCSF単独およびMIT単独添加時にはNBT還元能誘導は認められなかった.GーCSF,MITの両者添加時には著明なNBT還元能誘導が認められ,GーCSFの濃度に関する検討では,1,000units/mlにてほぼoptimalなNBT還元能誘導が得られた.
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