研究概要 |
von Willebrand病(vWd)のvon Willebrand因子(vWf)の構造および機能の解析にまず既に作成した5種のmonoclonal antibodies(MoAbs)のepitope分析およびそのvWf機能への影響について検索した。以下、便宜上NMC/vW1-5と省略。エピト-プ分析には精製vWfおよびその酵素(SP-V8,trypsin)処理fragmentsを作成および純化した。それらは、各々SPIII(vWfsubunitのアミノ酸1-1365までのhomo-dimer)、SPII(アミノ酸1366からC-terminal2050のhomo-dimer)、SPI(アミノ酸911-1365)のmonomer,vWfのN末fragment(アミノ酸1-278)である。vWf機能へのMoAbの影響については凝固因子第VIII因子への結合能、血小板GPIbへの結合能(ristocetin,botrocetin)、GPIIb/IIIa(thrombin刺激血小板)への結合能、collagenへの結合能およびヘパリンへの結合能について検索した。結果;MoAbsのepitopeの局在はNMC/vW1,3,4,5はSPIII上に、NMC/vW2はSPII上に、NMC/vW1,3,5はSPI上に存在した。また、NMC/vW4はvWfのristocetinおよびbotrocetin誘導血小板GPIbへの結合およびヘパリンへの結合能を完全に抑制した。NMC/vW3はvWfとhuman type III collagenとの結合を抑制した。しかし、他のSPI上にepitopeを有する2種のMoAb(NMC/vW1および5)は抑制しなかった。次にvWdの血漿中vWfのcollagenへの結合能を検索した。方法は血漿vWfと予め調整したfibrillar collagenをpolystylen tube内で反応させ、結合しなかった残存vWf量をcontrolとして用いた熱処理変性collgenとの結合能と比較し算出した。また、上述のMoAbsの影響およびheparin,Caイオンの影響をみた。結果、血漿vWfはspecificおよびsaturableに、またheparinおよびCaイオンの影響を受けずに結合することが明かとなった。また、次に各種vWfの変異病型の血漿vWfのcollagen結合能を測定した。その結果、変異病型でcollgenとの結合能の低下を認め、特にtypeIIA,IICでは有意に低下していることが明かとなった。
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