研究概要 |
巨核球性白血病49例について、ダウン症候群を伴わない小児例、ダウン症候群を伴う小児例、成人の急性巨核球性白血病例、慢性骨髄性白血病の巨核球性クリ-ゼなど、4つの疾患群に分け、電子顕微鏡的観察をおこない、推計学的に比較を行った。 円形の核を持つものは、各グル-プ間に有意差はなかった。成熟した巨核球のような不整形の核はまれであった。細胞質に顆粒を含まない芽球は各グル-プで53ー63%の割合でみられたが、各グル-プ間に差はなかった。典型的なα顆粒を持つものは成人の急性巨核球性白血病3症例でみられたが小児ではみられなかった。α顆粒と同じサイズの小さい顆粒も成人の急性巨核球性白血病で有意に多く(p<0.05)、ダウン症候群を伴う小児の急性巨核球性白血病で有意に少なかった。成人の急性巨核球性白血病は他に比べて巨核球としての成熟が強い事が示唆された。膜様構造物をもつ顆粒(θ顆粒)はダウン症候群を伴う小児の急性巨核球性白血局で12±8%と、他のグル-プ(0ー1%)に比較して著明に多かった。この顆粒は巨核球以外の細胞に見られる事から、ダウン症候群を伴う小児の急性巨核球性白血病は巨核球以外の他系統の白血球への分化傾向があることが示唆された。血小板ペルオキシダ-ゼ陽性率はダウン症(ー)小児で58±21%、ダウン症小児で57±17%、成人例では74±10%、CML例で51±29%で、成人例に有意に高率であった(p<0.05)。成人例は他にくらべて巨核球として成熟傾向にあるといえた。 電子顕微鏡細胞化学によるIIb/IIIa、酸性フォスファタ-ゼ、DNA,RNA、などの微細構造上の局在については、5〜20例につき観察を行い定性的な知見を得た。
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