研究課題/領域番号 |
01570548
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
吉野 加津哉 帝京大学, 経済学部, 教授 (70091064)
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研究分担者 |
河 陽子 帝京大学, 医学部, 助手 (10082273)
鈴木 慶二 群馬大学, 医療技術短期大学, 教授 (40008313)
沖津 祥子 帝京大学, 医学部, 助手 (10082215)
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キーワード | 川崎病 / インタ-リュウキン1 / TNFα / インタ-リュウキン6 / Lactobacilus casei / C3H / HeT マウス / 疾患モデル / 心・血管疾 |
研究概要 |
1).LCWEによるマウスの培養腹腔マクロファ-ジ(Mφ)の催炎サイトカインの産生能:thyioglycollateで誘導したマウス腹腔MφのLCWEによるTNFαとILー6の産生をLPS刺激との比較で検討した。TNFαはL929細胞の細胞傷害活性によるbioassay法と抗体を用いたELISA法で、ILー6はILー6依存性hybriboma B3B1の増殖活性で測定した。TNFα産生について、LCWEはBALB/cではLPSと同等の刺激活性を認め、C3H/HeJではLPS同様に刺激活性が無かった。ILー6産生については、BALB/cではLPSと同等の刺激活性を、C3H/HeJでは中等度の刺激活性であった。 2).TNAαのmRNA発現の時間相の検討: LPS、LCWE刺激による腹腔MφのTNFα mRNAの発現を、特異的プロ-ブを用いて検討した。TNFα mRNAは、BALB/cでは4時間目より16時間目まで強く発現させ、以後減少した。LPSは見られたが、非常に弱く、LPS刺激では認められなかった。BALB/cではLPS、LWE刺激で4時間目にmRNA発現が認められ、以後減少した。C3H/HeJでは、LCWE刺激のみに1時間目と4時間目に発現が認められた。 3)マウス腹腔内LCWD投与による心血管炎の発現誘導:Lehmanらの報告に従い、LCWEはマウス腹腔内に投与して4週間に屠殺して心臓血管病変を病理組織学的に検討した。マウス体重1g当たり0.02mgを投与量とした。 (1)LCWE投与4週後の心臓組織病変:25匹のBALB/cと22匹のC3H/HeJについて、LCWD投与4週後では、BALAB/cの心臓病変の出現率は28%(7/25)、C3H/Heでは14%(3/22)であった。病変の内訳は、BALB/cでは心外膜炎(3/7)、心筋炎(2/7)、冠状動脈血(2/7)であり、C3H/Hejでは中小動脈炎(2/3)であった。いずれの病変も血管炎か血管炎に随伴する病変であった。また、激しい病変はBALB/cにみられた。心臓以外の臓器の病変は、肝臓実質内の軽度の血管炎を8%(2/25)に認めるのみであった。 (2)LCWE投与24ー48時間後の組織病変:BALB/cでは69%(9/13)、C3H/HeJでは57%(8/14)と高率に心臓血管病変を検出した。BALB/cでは、冠状動脈や心筋内中小動脈の病変に止まらず、心内膜から心外膜に至る広範な炎症像(汎動脈炎)を示すものも多く認められた。 (3)心病変の病理組織像の詳細:心臓血管病変の(24ー48時間)の主要な組織所見は、冠状動脈炎の血管壁の内、中、外層に及ぶ等症性病変であり、マクロファ-ジや好中球の顕著な細胞浸潤と弾性繊維の断裂がみられた。心筋層では、中小動脈の血管周囲の細胞潤浸と心筋維繊の融解や肉芽形成がみられた。これらの組織病変は、BALB/cの心臓で顕著であり、C3H/HeJでは軽度であった。4週後の病理組織所見は、炎症病像は総じて軽度となり浸潤細胞でなり、浸潤細胞はマクロファ-ジが中心であり、好中球は減少していた。 (4)心血管病変の免疫組織学的検討:抗マウスILー1α抗体、抗マウスTNAα抗体、抗マウスILー6抗体を用いて、ABC法による組織免疫染色を行った。末だ、検討例が少なく予備実験の段階であるが、血管炎の全層にこれらのサイトカインが検出できた。
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