研究概要 |
本年度には従来の研究成果をふまえて,スリンダクとベ-タ-メサゾンの併用による動脈管収縮効果を研究した。 スリンダクはプルドラッグで腎臓機能に対する抑制がほとんど無い事が知られている。従って腎臓機能が未熟な未熟児の動脈管治療として特に注目される薬剤である。 まず満期のラット胎仔を用いて実験すると,スリンダクは投与量にdependentに胎仔の動脈管を収縮させる事が判明した。即ちスリンダクの投与量を少量(0.1mg/kg)ではわずかな動脈管収縮が生じ,1mg/kgでは動脈管内径が80%に収縮し,10mg/kgの大量では動脈管の内径が40%に収縮した。 スリンダクにベ-タ-メサゾン1mg/kgを併用すると,動脈管収縮はスリンダク単独の場合よりはるかに強くなり,スリンダク10倍量投与に相当する強い動脈管収縮を生じた。即ちスリンダクとベ-タ-メサゾンの併用により,動脈管収縮効果にはインドメサシンとベ-タ-メサゾンの併用の場合と同様に相乗効果が認められた。 未熟なラット胎仔の動脈管に対しては,スリンダクの収縮効果はインドメサシンの収縮効果と同様に,効果が弱かった。即ち1mg/kgの投与で動脈管内径は80%に収縮した。これにベ-タ-メサゾン1mg/kgを併用すると動脈管内径は収縮し,相乗効果が認められた。 即ちスリンダクとベ-タ-メサゾンの併用は未熟な動脈管に対して強い収縮作用があることが証明された。
|