正常と異常毛髪の形態学的.生化学的研究:走査電顕法と二次元電気泳動法

1990 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01570559
• 研究機関: 新潟大学
• 研究代表者: 伊藤 雅章 新潟大学, 医学部, 助教授 (30115000)
• キーワード: 毛器官 / 透過型電子顕微鏡 / 走査型電子顕微鏡 / 毛ケラチン / 二次元電気泳動法 / 毛髪奇形

研究概要

昨年度から今年度にかけて正常人から毛髪材料を二次元電気泳動法で分析した。また、可溶化した抽出蛋白の一部をカラムを用いてゲル濾過あるいはイオン交換クロマトグラフィ-により分画後、同様に電気泳動することにより、量的に少ない非線維性蛋白のポリペプチドを分析した。その結果、線維性蛋白は、従来の報告に類似した泳動パタ-ンを示し、とくに個人差はみられなかった。一方、非線維性蛋白は、酸性のポリペプチドグル-プ(aHMP)と塩基性のポリペペチドグル-プ(bHMP)に分けられた。bHMPはほとんど個人差を示さなかったが、aHMPの泳動パタ-ンは多様性を示し、遺伝的に決定されているものと考えられた。毛軸に添って毛幹が捻れ、臨床的に縮れ毛を呈する捻転毛症例の毛髪から毛ケラチン蛋白を同様に抽出、分析したところ、線維蛋白とbHMPは正常であったが、aHMPは量的に非常に少ない異常パタ-ンを示した。同時に分析した後天性結節性裂毛では、いずれの蛋白分画も正常であった。

研究成果

• [文献書誌] Ito,M.and Hashimoto,K.: "Trichohyaline granules in hair cortex" The J.of Investigative Dermatology. 79. 392-398 (1982)
• [文献書誌] Ito,M.,Ito,K.and Hashimoto,K.: "Pathogenesis in trichorrhexis invaginata(bamboo hair)" The J.of Investigative Dermatology. 83. 1-6 (1984)
• [文献書誌] Ito,M.: "The innermost cell tayer of the outer root sheath in anagen follicle:Light and electron microscopic study" Archives of Dermatological Research. 279. 112-119 (1986)
• [文献書誌] Ito,M.,Hashimoto,K.,Sakamoto,F.,Sato,Y.and Voorhees J.J.: "Pathogenes of pili annulati" Archives of Dermatological Research. 280. 308-318 (1988)
• [文献書誌] Katsuumi,K.,Ito,M.,Kazama,T.and Sato,Y.: "Twoーdimensional electrophoretic analysis of human hair Keratins,especially hair matrix proteins" Archives of Dermatological Research. 281. 495-501 (1989)
• [文献書誌] 勝海 薫,伊藤 雅章: "捻転毛(Pilitorti)の1例:毛ケラチン蛋白の二次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分析" 臨床皮膚科.
• [文献書誌] Ito,M.and Hashimoto,K.: "Electron Microscopy in Human Medicine" McGrawーHill, 45 (1985)