研究概要 |
1.天疱瘡抗体による培養表皮細胞のウロキナ-ゼmRNAの上昇の確認。 1.8mMCa^<++>を含む培養液中にて培養し、天疱瘡抗原を十分発現したヒト培養表皮細胞の培養液中に尋常性天疱瘡患者血清よりProteinA SepharoseおよびLysine Sepharoseを用いて精製した天疱瘡抗体IgGを加え、一定時間培養した後、表示細胞のRNAを抽出し、Northern Blot法にて検討した。ProbeはMeltonらの方法に従い、pSP64に610bpのウロキナ-ゼDNAを挿入したものをテンプレ-トとして作成したRNA probeを用いた。まず8mg/mlの尋常性天疱瘡抗体IgGと正常人由来のIgGを加え、1,3,24時間のウロキナ-ゼmRNAを検討した所、3時間目で、尋常性天疱瘡抗体IgGにより著名なウロキナ-ゼmRNAの上昇が認められた。次にこの尋常性天疱瘡抗体IgGの濃度に依存しているかどうかを確認するために、2名の患者より得たIgGを用いて、0,0.5,1.0,2.0,4.0,8.0mg/mlの濃度で検討した。1名の患者のIgGでは、4mg/mlで0mg/mlに比し、約2.5倍の増加があり、もう1名の患者のIgGを加えた場合には、8mg/mlで4.5倍の増加が認められた。この増加は濃度依存性であった。この時Actin mRNAは全く変動していなかった。これらの結果より、尋常性天疱瘡IgG表皮細胞におけるウロキナ-ゼ活性の上昇には、ウロキナ-ゼmRNAの増加を伴う事が確認された。 2.新生児マウスを用いた実験的天疱瘡モデルの確立 本実験では大量の天疱瘡抗体IgGを必要とするため、Protein A SepharoseおよびLysine Sepharoseにて精製したIgG分画を用いて行った。30〜50mg/mlの濃度として100ulを新生児マウスの腹腔内に投与を繰り返した所、水疱形成が出現し、組織学的にも天疱瘡様水疱であるである事が確認された。
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