研究課題/領域番号 |
01570580
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
旗持 淳 川崎医科大学, 医学部, 講師 (90172923)
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研究分担者 |
岡 大介 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70148708)
植木 宏明 川崎医科大学, 医学部, 教授 (30069017)
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キーワード | I型コラ-ゲン / 遺伝子調節 / 転写 / 転写因子 / プロモ-タ- |
研究概要 |
I型コラ-ゲン遺伝子発現調節機構を理解するために私どもはまず2疾患のコラ-ゲン合成の変化を検討した。限局性強皮症の炎症性皮疹、硬化性皮疹由来線維芽細胞のコラ-ゲン合成を蛋白、m-RNAレベルで健常部と比較したところ、炎症性皮疹部で蛋白、m-RNAレベルともI型コラ-ゲン合成は増加していたが、硬化性皮疹部ではm-RNAレベルは健常部と変わらず、蛋白レベルではむしろ低下していた。このことより強皮症皮疹部におけるI型コラ-ゲン合成の増加は炎症反応により誘導されることが示唆された。さらに強皮症様皮膚を呈することで知られるwerner症候群皮膚由来線維芽細胞のコラ-ゲン合成を性、年齢を一致させた健常人皮膚由来線維芽細胞の同一継代数のものと比較検討した。werner症候群由来線維芽細胞ではコラ-ゲン合成の増加がありm-RNAレベルの増加を伴っていることが明らかにされた。増加量はI型>III型であった。 一方、私どもはI型コラ-ゲン合成の調節機構を研究するためのモデルシステムとして当大学病理学教室で樹立されたトランスフォ-ムしたヒト線維芽細胞すなわちCoー60γ線照射による不死化細胞(KMSTー6cells)と、さらにそれをHa-Ras癌遺伝子で処理しtumorigenicにトランスフォ-ムした細胞(KMST-6-Ras cells)のコラ-ゲン合成を蛋白、m-RNAレベルのみならずm-RNA合成すなわち転写レベルでもとの親細胞すなわち正常ヒト線維芽細胞と比較検討した。その結果これらのトランスフォ-ムした細胞はともにすべてのレベルでそのコラ-ゲン合成能は正常細胞の約10倍低下しており転写レベルでその調節が変えられていることを明らかにした。2年目はこれらの転写レベルでの調節の変化をおこしている機構について検討するよう進めたい。特に転写因子について追究したい。
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