研究概要 |
脳腫瘍の放射線治療後におこる脳壊死の病態を、動物モデルを用いて磁気共鳴スペクトロスコピ-により解析することが目的である。 高磁場強度(2テスラ)の小型磁気共鳴スペクトロスコピ-装置が設置されたが、期待された性能を発揮させるまでの技術が十分でなかったために、今年度はその大部分を機器の調整に費やすことになった。この装置は磁気共鳴スペクトルを得ようとする部位の画像をとることができるが、ラッテの脳に限局した信号をうるためにまず小型の表面コイルの作製を試みた。しかしこれには高度の技術と経験を必要とし、コイルの作製そのものが独立した研究テ-マとなりうる程のものであり、残念ながら満足な結果は得られていない。したがってこの仕事は次年度に持ち越される。 次にスペクトルを得ようとする部位がどれだけ限局させられるかについての検討をおこなった。現在使用可能なコイルを用いた場合、ラッテの脳だけに限局したスペクトルをとることは困難であることが判り、ラッテよりも大きい動物を使うか,またはラッテの脳のみのスペクトルがとれる位の小型表面コイルの作製が必要である。どうしてもこれが不可能の場合には、脳を摘出して測定することもやむをえないことになる。 ラッテおよび兎の脳の半分にリニアックエックス線を照射するために、動物用の麻酔器を購入した。現在半分の脳に壊死をおこさせる照射線量を検討中であり、壊死の発生までには約6カ月を要する予定である。 ラッテを麻酔し現在使用可能な動物用コイルを用いてラッテの磁気共鳴画像をとることには成功しており画像の分解能もよい。 次年度には小型表面コイルを感性させること、および壊死脳のスペクトルを得ることがまず目標となり、ついで壊死脳と正常脳のスペクトルを比較し、壊死脳の特徴を捉えることまでを目標とする。
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