研究概要 |
当施設に設置されたスペクトロスコピ-も可能な小型高磁場磁気共鳴(MR)画像装置がまだ技術的に開発段階にある装置であったために,初年度(平成元年度)の計画達成が大幅に遅れ,その計画の多くが今年度に持ち越された.ラットの脳半球のみのスペクトルをとるための表面コイルは現在なお作成中であり,これは2年度に亘る本研究期間を過ぎても継続される.脳がラットより大きいウサギを使用する方法を検討したが,放射線照射,照射後の観察,MR画像作成ともにラットにくらべて困難が多かったため,結局ラットにもどって脳障害モデルの作成を行い,まず画像での検討を行った.最少2匹ずつに10,30,50,100GyのリニアックX線を右脳半球に一回照射,これらのラットのMR画像を作成し,左右脳のT1,T2値を測定した.100Gy照射ラットの照射前,照射後5,10日のデ-タを経時的に解析した結果では有意の左右差はみられなかったが,長期生存の得られた50Gy照射ラットの6か月後のMR画像には明かな左右差がみられた.この予備実験の結果から本実験としてX線照射ラットの長期観察を開始しており,現在作成中の表面コイルを用いて経時的に照射脳のスペクトルをとることになっている.
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