研究課題/領域番号 |
01570588
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小野 公二 京都大学, 医学部, 講師 (90122407)
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研究分担者 |
芥田 敬三 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (70144285)
筒井 一成 京都大学, 医学部, 助手 (40180020)
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キーワード | Prediction / Micronucleus / Radiation |
研究概要 |
低LET放射線による癌の治療成績を更に向上させるには、患者毎の治療方法を個別化しなければならない。そのためには、個々の患者の癌細胞の放射線感受性を調べる簡便、確実な方法を確立せねばならない。我々は細胞の増殖死と深く関係しているMicronucleus形成をこれに応用することを考えその基礎的検討を行った。マウス腫瘍細胞株SCC VII、EMT6/KUについて、放射線照射後の細胞生存率曲線と、Cytochalasin Bを併用して求めたMicronucleusの頻度曲線を共にLinear-quadratic modelで解析し、両曲線のパラメタ-の関連を調べた。両曲線のα値、β値はそれぞれ深く関係しており、放射線増感剤BUdRで細胞を前処理し生存率曲線のα値が大きくなると、Micronucleusの頻度曲線のα値も同じ程度大きくなった。またこの時、β値はどちらの曲線においても変化しなかった。そして両曲線のα/βは大変良く一致した。 次に、この関係を人癌の初代培養細胞において検討した。10人の腎臓癌患者の手術材料より得た癌細胞を使い、細胞生存率曲線、Micronucleusの頻度曲線を求め、マウス腫瘍細胞のデ-タと同様の分析を行った。細胞生存率(対数でプロット)とMicronucleus頻度との間には直線関係があり、両曲線のα/β値はよく一致した。また放射線感受性にはかなりのばらつきのあることも分かった。そこで、同じく人の食道癌手術材料より樹立された5細胞株についてMicronucleusの線量頻度曲線を調べるとα/β値は広く分布しており、最適線量分割が症例によりかなり異なることが分かった。 正常組織の放射線反応の個体差を調べる方法を確立するため、Micronucleus頻度で求めた末梢血リンパ球の放射線感受性と、腸上皮細胞の放射線感受性の関連を3系統のマウスについて調べた。 両組織の感受性の順位は一致した。
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