膵臓イメ-ジング用放射性医薬品として有望な化合物をデザインし、その合成と膵臓機能診断剤としての有用性を検討した。膵臓は蛋白合成の盛んな膵器であるため、アミノ酸をその原料として取り込む。そのため現在、アミノ酸であるCー11標識メチオニンが臨床利用されているが、メチオニンの膵内挙動を定量的に評価する目的で、膵内動態を検討した。その結果、Cー11標識メチオニンはSーメチル基が標識されているため、膵臓内に取り込まれた後、蛋白合成とメチル基転移反応の和で近似されるメチオニン代謝全体を反映する挙動を示し、蛋白合成機能診断薬としては用い得ないことが明かとなった。また、メチオニンを蛋白合成機能診断薬として用いるには、カルボキシル基がCー11で標識された薬剤を合成することにより可能であることが明かとなったが、合成上の問題点が今後の検討課題となった。また、我々は、Nー13標識アンモニアが、膵臓へ高く取り込まれることを見いだした。これは、静脈内投与されたNー13標識アンモニアが投与直後には膵血流に応じて分布し、その後、グルタミンを中心とするアミノ酸プ-ルへ移行して膵臓内に保持されることによるものであることが明かとなり、Nー13標識アンモニアが膵臓診断薬剤として利用可能であることが見いだされた。また、グルコ-ス誘導体による膵臓機能診断薬剤として、シングルフォトンエミッションコンピュ-タ-トモグラフィ(SPECT)に利用し得るIー123標識グルコ-ス誘導体であるNー(mーiodobenzoyl)ーglucosamine(BGA)を合成した。本化合物は、グルコ-ス代謝の第一段階であるヘキソキナ-ゼの反応を阻害すること、また、マウス体内分布において、投与3時間後に膵臓集積が最も高く、SPECTによる膵臓イメ-ジングの可能性が見いだされた。
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