研究概要 |
1.静磁場強度1.5Tにおける骨髄の画像化のための至適パルス系列について、STIR(Short TI IR)法をもちいることにより水と脂肪とのbiphasicな構造よりなる骨髄は最もよくその動体を画像化できると考えた。 STIRとは反転回復法の反転時間TIをきわめて短くとったパルス系列であり、1.5TではTR=2000 msec,TI=160 msec,TE=20msecの2000/160/20をもちいた。 2.STIRによる正常骨髄MR像 80名の正常者の腰椎矢状断をSTIRにて撮像した。年令分布は18才から84才迄であり、男女ほぼ同数。骨髄の脂肪化は下部腰椎よりはじまり次第に上部腰椎に進み、最後まで脂肪髄になりにくいのは腰椎では第1、胸椎では12番であった。造血織の残存部位は高信号域として描出され、椎体をふちどるように存在した。脂肪化は椎体の中心部からはじまり、造血織との混在でまだらな高・低信号を示した。このパタ-ンに従わないものは全て異常と考えられる。脂肪髄への変化は18才では全くみられなかったが、26才では既に認められた。骨髄MRIでは30代40代では年令による差はほとんどなかったが、55才以上になると年令に比例して脂肪化は著明となった。 3.血液疾患における骨髄MRIの応用 STIRとTEを80msecまで延長したlong TE STIR(あるいは水のT2強調STIR)を用い、MDS(myelodysplastic syndrome)と再生不良性貧血との鑑別を試みている。
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