研究課題/領域番号 |
01570601
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
小島 卓也 東京医科歯科大学, 医学部・神経精神医学教室, 講師 (40014203)
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研究分担者 |
松島 英介 東京医科歯科大学, 医学部・神経精神医学教室, 医員
松浦 雅人 東京医科歯科大学, 医学部・神経精神医学教室, 助手 (60134673)
渥美 義賢 東京医科歯科大学, 医学部・神経精神医学教室, 助手 (90143552)
島園 安雄 東京医科歯科大学, 神経研究所, 所長 (10013806)
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キーワード | 精神分裂病 / 開瞼時眼球運動 / 判別分析 / アイマ-ク・レコ-ダ / 診断 / 注視点 / 眼球運動 |
研究概要 |
分裂病患者の表情や視線の動きが精神内界を反映する重要な指標の一つであることは日常の臨床において常に経験することであり、立津は分裂病者に最も特徴的なのは目を中心とした顔の表情の変化が乏しいことであると述べている。我々はこの視線の動きを客観的に把握し、これらの眼球運動の特徴が分裂病に特異的かどうかを明らかにするために、これらを用いて分裂病を非分裂病から判別できるかどうかを検討した。対象は精神分裂病患者41名(平均年齢35.8±9.1歳)、非分裂病者73名(平均年齢41.0±11.0歳)で、その内訳は正常者20名、覚醒剤患者11名、てんかん患者17名、うつ病患者10名、アルコ-ル精神病患者10名、強迫神経症患者5名である。被験者にNacV型アイマ-ク・レコ-ダを装着し、横S字型の標的図を見ている時、及び標的図とそれに類似した図とを比較・照合している時の注視点の動きを分析した。以上により、注視点の運動数、平均移動距離、総移動距離、反応的探索スコア、再認時の探索スコアの5つの眼球運動に関する指標を抽出し、これらを用いて判別分析を行った。まずStepweise selectionにより、注視点の運動数と反応的探索スコアの2つの指標が有効な変数として抽出され、これらにより感受性73.2%、特異性76.7%で分裂病を非分裂病から判別できた。さらにこの結果の妥当性を検討するために、得られた判別関数を用いて、別の新しい対象である分裂病患者64名(平均年齢36.2±8.2歳)非分裂病患者125名(平均年齢39.9±11.4歳)について検討したところ、感受性76.6%、特異性81.6%で分裂病を非分裂から判別できることがわかった。従って、反応的探索スコアと運動数という眼球運動の指標を用いて、分裂病を非分裂病からかなり判別できることが分かった。以上より、これらの指標は分裂病という疾患では特異的な値を示すことがわかり、臨床診断の補助的役割を果たすと共に、分裂病の本態の解明にも役立つものと考えられる。
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