研究課題/領域番号 |
01570606
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
大月 三郎 岡山大学, 医学部, 教授 (80033041)
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研究分担者 |
柏原 健一 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (80204387)
原田 俊樹 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (30181019)
秋山 一文 岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (40150990)
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キーワード | メタンフェタミン / コカイン / 逆耐性現象 / 交差逆耐性 / ドパミン / 脳内透析法 / 線条体 / ラット |
研究概要 |
メタンフェタミン(以下MAP)による逆耐性現象に関連する神経化学的変化として、MAP再投与時に脳内ドパミン(以下DA)放出が増大することを既に明らかにしてきた。今回はMAPと同様ヒトに乱用され精神病を引き起こすコカインを用いて、その反復投与による行動効果と脳内DA系への影響を調べた。また、MAPとコカインとの交差逆耐性についても検討した。(1)ラットに生食またはコカイン20mg/kgを14日間腹腔内投与し、7日間の断薬後に両群にコカイン20mg/kgを負荷投与した。コカイン群ではコカイン負荷後5分から30分にわたって生食群より有意に強い常同行動が出現し、逆耐性が形成されていた。同時点での脳内透析法による線条体のin vivoでのDA放出は両群ともコカイン負荷直後より増加したが、その増加率はコカイン群で有意に大きかった。DAの代謝産物であるHVAはコカイン負荷で変化なかった。DOPACは両群で減少したが、2群間に差はなかった。(2)ラットに生食またはMAP4mg/kgを先と同様に投与し、断薬後にコカイン20mg/kgを負荷投与した。行動ではコカイン負荷でMAP群に生食群より有意に強い常同行動が出現した(MAP→コカインの交差逆耐性)。この時点での線条体DA放出は、MAP群では生食群より有意に大きかった。(3)実験2とは逆に、ラットに生食またはコカイン20mg/kgを慢性投与し、断薬期間後にMAP4mg/kgを負荷投与した。行動ではMAP負荷によりコカイン群で生食群より有意に強い常同行動が出現した(2とは逆のコカイン→MAPの交差逆耐性)。同様にこの時点での線条体のDA放出がコカイン群で生食群より有意に強かった。 以上の結果から、コカイン反復投与による逆耐性においても既に示したMAPの逆耐性と同様にその精神化学的変化として線条体でのDA放出の増大が生じていること、また、コカイン→MAP、MAP→コカインでの交差逆耐性でも同じく線条体DA放出の増大が生じていることが明かとなった。
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