研究概要 |
Amphetamine(4mg/kg i.p.)によって自発運動およびrearing(立ち上がり運動)の増強が認められた。これらの作用に対してdopamine(DA)D-1 receptor拮抗剤のSCH23390(0.1mg/kg)は完全に抑制したがDA D-2 receptor拮抗剤の(±)-sulpiride(50mg/kg)はこれらの行動に対して影響を与えず、常同行動を発現した。一方、amphetamineによって抑制されたgroomingおよびpreaningはsulpirideによって回復されたが、SCH23390によっては回復されなかった。また、amphetamineによる自発運動およびsniffing反応の増強作用はadenosine A-1 receptor興奮剤N^6-cyclohexyl adenosine(CHA),diazepamおよびGABA興奮剤のbaclofen,muscimolによっていずれも抑制された。しかしながら、apomorphineによる常同行動、特にlicking(なめる反応)biting(おがくずを口の中に入れる反応)およびgnawing(かじる反応)を増強した。Haloperidolによって生ずるカタレプシ-反応をbaclofenおよびCHAは増強した。以上の結果より、amphetamine投与による自発運動の増加は主にD-1 receptorの興奮、amphetamineによるgroomingやpreaning反応の抑制にはD-2 receptorの興奮がそれぞれ関与しているのかも知れない。また、GABA性薬物はnucleus accumbensのDA性神経の興奮による自発運動の増加を抑制したにも関わらず、nigro-striatalのDA性神経の興奮による常同行動の一部を増強させたことから、常同行動の発現には抑制性神経の興奮が関与していることが考えられる。DA性神経の抑制、choline性神経の興奮あるいは両者の関与によって発現すると言われているカタレプシ-反応にもまた抑制性のGABA性神経の興奮が関与していることが考えられる。Adenosine拮抗剤のcaffeineによる痙攣誘発にはbenzodiazepine系、GABA系も直接関与はしないが、NMDAにより増強、AP7により抑制されたことから、この痙攣誘発にはNMDA receptorの興奮が一部関与しているものと考える。
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