研究課題/領域番号 |
01570614
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
保崎 秀夫 慶應義塾大学, 医学部・精神神経科, 教授 (30051056)
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研究分担者 |
宮岡 等 慶應義塾大学, 医学部・精神神経科, 助手 (40209862)
浜田 秀伯 慶應義塾大学, 医学部・精神神経科, 助手 (70101897)
仲村 禎夫 慶應義塾大学, 医学部・精神神経科, 講師 (10051541)
浅井 昌弘 慶應義塾大学, 医学部・精神神経科, 助教授 (80051374)
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キーワード | 意識障害 / 痴呆 / うつ病 / せん妄 / 血液透析 / 膠原病 / ル-プス精神病 / 無動無言症 |
研究概要 |
意識障害は一般に身体因性精神障害の急性期の症状である。意識が高度に障害されれば病像は一様となり、診断は容易であるが、軽度の意識障害では種々の精神症状を認め、診断が困難であることも少なくない。本年度は、腎臓疾患と透析、膠原病、高齢者について、これまで精神科に診察を依頼された症例の全般的傾向と特に意識障害の研究に際して示唆の多い症例について検討した。 腎疾患で、精神症状が最も問題となるのは慢性持続透析患者にみられる神経衰弱状態であり、軽度意識障害の初期病像に類似することがある。頭部CTで軽度の萎縮性変化、脳波では背景波の不規則化、徐波の混入などを認める症例が多いが、器質性知能変化に近縁であり、意識障害とは区別される。軽度の意識障害は透析後に一過性にみられるか、血糖異常などの合併症によることが多く、病像は易疲労、意欲低下、抑うつなどが中心となり、臨床上、うつ病や痴呆との鑑別が重要である。特に糖尿病を有する腎障害では、血糖変動や視力障害などが加わって複雑な病像の意識障害を呈することがある。 精神症状が問題となった膠原病ではSLEが最も多く、状態像ではせん妄が多かった。腎疾患の症例と比べて、幻覚妄想をともなうことが多く病像は多彩である。せん妄の後、いわゆる無動無言状態に移行したSLE症例でSPECTにて両側前頭葉の血流低下を認め、この特有の意識状態の形成に関与すると考えられた。 高齢者では痴呆を疑われて精神科医への診察された症例の中に、しばしば軽度の意識障害と診断された者があった。両者の治療は異なることが多いため、非精神科医でも利用できる鑑別のための検査法について検討を続けている。
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