研究概要 |
今年度は前年度施行した正常対照者での結果を基に,対象を病者(躁鬱病者または非定型精神病者)に拡大し次の二点の検討を行なった。 1.午前10時前後に病者の1〜4週毎の定期的採血を行ない病状と血漿MHPG値及び血漿コルチゾン値との関係を調べる。(午前10時頃としたのは正常対照者での血漿MHPG値の概日リズムの平均値をとる時間帯であるから) 2.病者(躁鬱病者または非定型精神経病者)の寛解期または軽躁あるいは軽鬱期に,正常対照者と同様の2時間毎の採血,及び24時間に亘る深部温の測定を行なう。 1についてはその結果の一部を第43回日本自律神経学会総会にて発表,血漿コルチゾル値とPetterson躁病評価尺度得点には相関は見られなかったが,血漿遊離MHPG値と躁病評価尺度得点に正の相関が見られた事を示した。今後内容をさらに検討し第14回日本生物学的精神医学会において,はた炭酸リチウムおよびバルプロ酸ナトリウム併用で治療に当った躁鬱の交代の変化の激しいrapid cyclerにおける血漿遊離および総MHPG値との関連を第5回国際生物学的精神医学においてそれぞれ報告する予定である。 2については5名の病者について血漿遊離及び総MHPG値,血漿コルチゾル値,深部温の日内変動の測定を行なった。その結果の一部を井之頭病院研究紀要論文及び第17回国際神経精神薬理学会議,第20回国際自律神経学会議において報告した。その概要は病者に於て血漿遊離MHPG値の低下および振幅の減少,血漿コルチゾル値の位相前進および振幅の増大傾向のある事等である。今後第14回日本生物学的精神医学会において病者の血漿総MHPG値の日内変動を報告し,以上に統計的解析を加え第5回国際生物的精神医学会において報告する予定である。
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