研究課題/領域番号 |
01570618
|
研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
大原 貢 愛知医科大学, 医学部, 教授 (40065537)
|
研究分担者 |
村田 勝人 愛知医科大学, 医学部, 講師 (90148338)
林 拓二 愛知医科大学, 医学部, 講師 (80173011)
|
キーワード | 精神分裂病 / 非定型精神病 / CTscan / ^<123>IーIMP SPECT / 多変量解析 |
研究概要 |
前年度に既に報告したように、頭部CT所見及びCTdensityの比較から、定型分裂病と非定型精神病との間に脳の形態的な相違が存在することが示唆されました。またCT所見に基づく多変量解析による分類からも、定型分裂病と非定型精神病とは明かに異なったグル-プ化の傾向が存在することを認めました。即ち、主として脳室拡大を示すグル-プは定型分裂病から構成され、大脳縦裂の開大を示す一群と左シルビウス裂の開大を示す一群に分けられました。右シルビウス裂の開大が主たる所見を示すグル-プには非定型精神病の一群が属し、顕著な家族負因が認められることとこの所見は罹病期間と相関傾向を示すことが特徴的でした。しかし、定型分裂病にしろ非定型精神病にしろ、CT所見が顕著な異常を示さないものも少なからず認められ、それぞれの疾患がなお均質であるとは言いえず、さらにいくつかの病型に分類される可能性が示唆されました。 我々はさらに ^<123>IーIMPを使用したSPECTによる局所脳血流の研究を行いました。初期画像において、精神分裂病では、左右の前頭葉で対照群に対し有意の集積低下が認められ、非定型精神病では前頭葉に所見を認めず、右基底核部に有意の集積低下を認めました。また遅延画像では、精神分裂病で前頭葉に限らず、後頭部や基底核にも正常対照群と較べて有意の集積低下が認められました。しかし、非定型精神病ではほとんどの部位で対照群より集積低下を認めるものの有意の差は見られませんでした。これらの結果、分裂病では前頭葉を主に側頭葉などの広範な器質的変化が示唆されるのに対し、非定型精神病では脳基底核部での機能的障害が最も疑われるように思われました。本研究の成果は、平成3年6月に行われる第5回世界生物学的精神医学会(フイレンチェ)で、分裂病性疾患の異種性に関するシンポジウムにおいて、林が発表する予定である。
|