本研究の目的は糖輸送担体(GT)遺伝子を解析し、II型糖尿病(NIDDM)に特異的な遺伝子ハプロタイプの存在を検討することにある。そのための遺伝子マ-カ-としてDNA異型性(RFLP)を用いる。GT遺伝子は最近少なくとも3つの異なるタイプ、HepG2/赤血球型、肝型、筋・脂肪型が明らかとなった。我々はHepG2タイプにおいてcDNAおよびゲノムDNAをプロ-ブ化して、合計4つのRFLPを明らかにした。即ち5^1側上流よりBglII、TagI、XbaI、PstIの各RFLP sitesが各々pGT25S cDNAプロ-ブ、PE_1ゲノムDNA、PE_<1a>-SphゲノムPGT25L cDNAプロ-ブによりえられた。これら4つのRFLPの出現頻度は人種によって異なることも判明した。即ちアメリカ黒人では全てのRFLPとも出現頻度は最も高く、白人において最も低い傾向にあった。ピマインディアン、日本人では頻度は中程度であった。各RFLPの出現頻度をアメリカ黒人の糖尿病者、非糖尿病者で比較するとBglII、XbaI、PstI部位のRFLPに差はなかったが、TagI部位の出現頻度は糖尿病者で有意に低かった。一方これら4つのRFLPをマ-カ-としてハプロタイプの解析を行なったところ8つのタイプがえられた。最も高い頻度としてBglII(-)/TagI(+)/XbaI(+)/Pst(-)が52%に、次いでBglII(-)/TagI(+)/XbaI(-)/PstI(-)が32%にみられた。これらハプロタイプの出現頻度は糖尿病、非糖尿病で差が認められなかった。現在、日本人においてもハプロタイプの解析を進めている。また肝型遺伝子領域におけるRFLP解析も同時に検討を進めており、すでにcDNAプロ-ブを用いてHaeIII部位のRFLPを確認している。尚本研究補助金で購入した設備備品はDNA抽出、DNAプロ-ブの作製等に十分に活用されている。今後更に新たな遺伝子マ-カ-を見出し糖尿病との関連を検討したい。
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