研究概要 |
ヒト血清試料を用いての、PGl_2産生刺激因子(PSA)の分離、精製は極めて困難であった。そこで、より精製操作が容易な試料の検索を行なった。ラットより採取した各種組織、あるいは各種in vitro細胞培養液中のPSA活性を測定したところ、ヒト二倍体線維芽細胞培養上清に特異的な高力価のPSA活性を発見した。次に、このPSAの基礎的性状に関して詳細に検討した。その結果、56℃30分で安定だが100℃3分で失活する、また、pH4以下あるいはトリプシン処理にて失活する分子量30KDa前後の蛋白因子と推定された。血清中のPSAと性状を同一にする因子であることが判明した。さらに、この培養液試料(CM)を用い、PSAの精製を試みた。CM試料を濃縮し、PSA因子をHPLC装置およびHPLC用各種カラムを用いて精製を検討した。CM中のPSAをDEAEー5PWカラムに吸着させ、0ー1MまでのNaClの濃度勾配にて溶出させると、PSAは200ー250mMのNaCl濃度の分画に溶出された。次に、そのPSA活性分画をHEPARINー5PWに吸着させ、Gー1MまでのNaClの濃度勾配で溶出させた。PSAは340ー400mMのNaCl濃度の分画に溶出された。さらに、このPSA活性分画をG3000SW_<XL>でゲル濾過した結果、PSAは、SDSーPAGRの銀染色にて、37kDaと26kDaの位置に認められた。これらの蛋白の構造決定を試みたが、N端がブロックされており不可能であった。高濃度の精製蛋白を採取するために現在カラム容量を増加させ,精製のscale upを計画しております。結論:ヒト二倍体線維芽細胞培養上清中にPSAを認め、その性状について検討した。さらに、このPSAの粗精製を行なった。
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