研究概要 |
1.多形核白血球の糖輸送に関する臨床的検討 (1)糖尿病患者での検討 インスリン非依存型糖尿病患者では、白血球への糖輸送は健常者に比較し有意に高く、インスリン依存型糖尿病患者でも同様の傾向を認めた。インスリン非依存型糖尿病患者では、糖輸送は同時に測定したインスリン値や血糖値とは相関しなかったが、HbA_<1c>とは有意な正相関を認めた。又、一部の症例では糖代謝是正によるHbA_<1c>の低下とほぼ平行して糖輸送速度が低下した。この事実は白血球内への糖輸送は、長期間の糖代謝異常により影響を受けている可能性があることを示唆していると考えられる。 (2)クッシング症候群ならびにステロイド剤服用中患者での検討 クッシング症候群では糖輸送は健常者に比較し著明に低下していた。ステロイド剤服用中患者(ネフロ-ゼ症候群5例,ITP2例,SLE2例)ではプレドニゾロンの1日投よ量が40mg以上で糖輸送は有意に低下していた。プレドニゾロン50mg/日投よ中のネフロ-ゼ症候群患者の糖輸送のkireticsでは、健常者に比較しkmの変化はなく、Vmaxの低下を認めた。以上の所見は糖質コルチコイドは白血球内への糖輸送を抑制していることを示唆している。 2.多形核白血球の糖輸送に関する基礎的検討 白血球の糖輸送は、ih vitroでのインスリン(1mM,10分間)やブドウ糖(20mM,60分間)の添加によっては変化しなかったが、デキサメサゾン添加では、時間依存性、濃度依存性(contml群100%、10_<-8>M90%,10_<-7>M70%,10_<-6>M55%)に糖輸送を抑制した。
|