研究概要 |
1)人多形核白血球の糖輸送に及ぼす食事、運動の影響 (1)健常者5名において、空腹時、食直後、食後1時間、2時間と経時的に糖輸送を測定したが、有意な変化は認められなかった。インスリン非依存性糖尿病患者3名において同様の検討を試みた。糖輸送は空腹時に比較しやや変化するように思われたが、一定の変動ではなかった。 (2)健常者3名、インスリン非依存性糖尿病患者2名において、最大酸素摂取量の約40%の運動負荷を30分間行なったが、有意と考えられるような変化は認められなかった。 以上から食事や運動は少なくとも多形核白血球の糖輸送にはあまり大きな影響は与えないようである。 2)クッシング症候群患者の白血球の糖輸送について、さらに3例追加検討したが、やはり糖輸送は健常者の正常下限を下まわっていた。これらの患者のうち1例で、手術1週間後に再度糖輸送を測定したところ糖輸送は正常範囲に回復していた。 3)ステロイド剤による糖輸送低下作用がステロイド投与後どの位の時期で生ずるかを検討するため、糖尿病性眼筋麻痺の患者にプレドニン40mgを投与し、経時的に観察した。糖輸送は1週間目ですでに著明に低下し、投与中止後すみやかに回復した。短期間のステロイド投与で糖輸送は抑制されるように思われた。 4)in vitroでデキサメサゾン添加時の糖輸送は濃度依存性に抑制された(control群 100%,10^<ー8>M 90%,10^<ー7>M 70%,10^<ー6>M 55%). さらに10^<ー6>Mの濃度で糖輸送を経時的に測定したが、20、60、120 minと糖輸送は次第に低下した。ステロイド剤は人多形核白血球の糖輸送を直接抑制すると考えられる。
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