CMK細胞はDown症候群に伴った急性巨核芽球性白血病患児より樹立された細胞株であり、巨核芽球としての形質を強く発現している。CMK細胞はフォルボ-ルエステル処理により、より成熟した巨核球へ分化する。この過程で発現の増強をうけるm-RNAについてクロ-ニングをすすめ、既知の物質(common leukocyte antigen等)の遺伝子数種を含む、複数の遺伝子のクロ-ニングした。これら遺伝子の産物につき、モノクロ-ナル抗体を用いて検討をすすめている。 CMK細胞より分化度の異なる亜株を数種クロ-ニングした。このうちCMK11-5細胞は比較的大型で、細胞膜の血小板特異糖蛋白質の発現も強く、巨核球としての分化度の高い亜株であり、CMK6細胞は比較的小型で巨核球としての分化度の低い亜株である。これら亜株の特性化を進める中で、多剤耐性遺伝子(mdr-1)及びraf-1遺伝子の発現に差が認められ、共にCMK11-5細胞において発現が増強している事が判明した。現在更にクロ-ニングを進め、より未熟な幹細胞に近い株、より分化の進んだ株の樹立をすすめながら、その特性化を行っている。同時に種々の亜株よりm-RNAを抽出し精製をすすめており、これよりcDNAを合成しλgt10および11を用いてライブラリ-を作製し、亜株間において発現に差を認めた遺伝子を中心にクロ-ニングを進めている。又これら種々の亜株を用い、モノクロ-ナル抗体を作製し、分化に伴い反応に変化を認めたものにつき、cDNAライブラリ-を用いて巨核球の分化に関与する物質の同定をすすめる予定である。
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