1.ATL患者、HTLV-1キャリア-の末梢血リンパ球の細胞性DNAを抽出し、pol領域の一部(119bp)につきPCR法にて増幅した。得られたDNAに対し、^<32>P標識pol検出用合成オリゴヌクレオチドプロ-ブ(20mer)によりドットハイブリダイゼ-ションを行い、HTLV-1ゲノムを検出した。 2.標準サンプルとしてHTLV-1陽性白血病細胞DNA(1コピ-)を陰性細胞株DNAで段階希釈したものを、PCR及びドットハイブリダイゼ-ションしてRIイメ-ジアナライザ-で解析した結果、HTLV-1ゲノム量は高精度でドットのカウントと相関し、ゲノム量の定量的測定が可能なことがわかった。 3.これらの結果に基き、キャリア-及び非キャリア-のDNAについてPCR及びドットハイブリダイゼ-ションを施行し、HTLV-1ゲノム量の半定量的測定を行った。134例のキャリア-末梢血リンパ球DNA解析の結果、標準サンプルとの比較において、陰性例1%、0.1%以下相当陽性例18%、0.1〜1%相当34%、1〜10%相当42%、10%以上5%であった。抗HTLV-1抗体陰性23例は全例PCR陰性であった。 4.上記結果を年代別に見ると、加令に従い0.1%以下及び0.1〜1%相当陽性例の減少、10%以上陽性例の増加傾向が認められた。男女別に見ると10%以上群のほとんどは男性であった。女性では40才代において0.1%以下相当陽性例が多く、結婚後の感染によるものではないかと考えられた。 5.上記で得られた結果をもとに、個々のキャリア-におけるウィルスゲノム量と抗tax抗体の有無及び抗体価との関連を見ると、高い正の相関が存在することが判明した。
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