LD78遺伝子は活性化されたリンパ球に強く発現する遺伝子として単離された。遺伝子構造から92個のアミノ酸より構成され、N端は22個のアミノ酸がシグナルペプチドを有すると予測されている。またLD78蛋白は種々の炎症や腫瘍化に伴うサイトカインと相同性を有し、機能は不明ではあるが生物活性の解析は生物学に貴重な示唆を与えると思われる。ここでは様々な血球系由来の新鮮白血病細胞、種々の株化細胞に於いてLD78遺伝子をプロ-ブとしてノ-ザ-ン法で遺伝子発現を解析した。また抗LD78蛋白抗体はLD78遺伝子単独では大腸菌に発現しなかったので、IL-2-LD78融合蛋白として得、家兎に免疫した。抗血清はIL-2と大腸菌を結合させたアフィニティクロマトグラフィ-にかけ精製した。LD78蛋白合成は細胞溶解液、培養上清をウエスタ-ンブロット法にて検索した。遺伝子発現は非リンパ性白血病細胞の全て、2例中3例の成人T細胞白血病細胞(ATL)、9例中8例のB細胞性のリンパ性白血病細胞、3例中2例のT細胞性リンパ性白血病細胞に検出された。しかしながら蛋白発現はATL細胞のみにしか検出できなかった。ATL由来細胞株のLD78遺伝子は非リンパ系白血病細胞由来株HL-60に比しアクチノマイシンDに抵抗性で、ATL細胞の細胞溶解液、培養上清に蛋白発現が見いだされるのはATL細胞株のRNAの安定性に由来する物と思われた。しかし一方で非リンパ性白血病細胞ではLD78蛋白の受容体が多く代謝が早い可能性も指摘された。後者の可能性はHL-60細胞をLPSで刺激するとLD78遺伝子が発現し、蛋白産生が検出される事からも考えられた。現在LD78蛋白受容体が単球系の細胞に多い事を見いだし生理活性の検索を行っている。
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