研究概要 |
多発性骨髄腫8例と形質細胞性白血病1例の染色体分析を追加し,10例でbc12の再構成の有無を検索した.また,臨床成績を整理し細胞遺伝子学的所見との関連性を検討した. (1)9例中4例で染色体異常が認められた.多発性細髄腫(MM)2例,白血性細髄腫(LM)例,形質細胞性白血病(PCL)1例である.MM2例の核型は,47,XX,+mar(症例8)と42,X,-Y,-1,+3,-11,-13,-14,-15,-16,-19,+der(1)t(1;1)(p13.3;q12),t(8;22)(q24;q11),+der(16)t(16;?)(q24;?),+der(19)t(19;?)(p13;?)(症例2).LMの症例17の核型は43,X,-X,-6,-7,-20,-22,dup(1)(q21q44),dup(1),t(4;16;14)(p14;q22;q11),+der(7)t(7;22)(p15;q11),+der(7)t(7;22),del(10)(p13p15),+der(6)t(6;?)(q25;?).PCL(症例20)はモ-ドが44〜48,代表核型は48,x,-x,+7,+9,-12,-13,-14,+21,+1p,16p+,+mar1,+mar2であった. (2)10例でbc12の再構成を検討したが,全例が胚細胞型を示した. (3)染色体分析時の病期は16例中14例が病期III,病期IとIIが各1例であった.14q+の頻度は白血化例とPCLで有意に高かった(p<0.05).LDHが高値の8例では全例14q+を検出したが,LDH正常の8例では7例が14q+以外の異常であり,LDH高値と14q+には有意の相関があった(p<0.01).14q+,No.1の構造異常,6qの異常,hypodiplodyなどと初診時からの生存期間に相関があるか検定したが,いずれも独立した予後因子とはならなかった.しかし,染色体分析時からの生存期間は,有意差は無かったものの14q+をもつ症例で短い傾向にあった.
|