研究課題/領域番号 |
01570699
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐久間 まこと 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (70170636)
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研究分担者 |
田辺 達三 北海道大学, 医学部, 教授 (50000956)
安田 慶秀 北海道大学, 医学部附属病院, 助教授 (60125359)
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キーワード | anastomotic neointimal hyperplasia / 人工血管 / 血行再建 / グラフト閉塞 / 血小板シンチグラフィ- |
研究概要 |
人工血管移植による血行再建手術術後遠隔期における人工血管閉塞の最も大きな原因となっている血管吻合部における内膜肥厚(anastomotic neointimal hyperplasia:ANH)の発生機序を解明し、その予防法を確立するために実験的・臨床的検討を行った。実験として雑種成犬20頭の頚動脈にComplianceが低く、ANHを発生し易いとされるEPTFE人工血管(5cm長)を移植するとともに生体血管とほぼ同様の物性をもつ新たに開発された柔軟なsegmented polyurethane人工血管を対照とし移植、吻合部におけるANHの発生を経時的に観察した。移植後3ヵ月の時点においてEPTFEの吻合部ではANHが40%に認められ、いずれも吻合部より3〜5mmの宿主側を中心とした肥厚であった。plyurethane人工血管ではANHの発生頻度はEPTFEと比較して低値(12%)であったが、同様に宿主動脈側の肥厚として認められた。このことから、ANHの発生要因として従来、推測されていたcomplianceの違いはANH発生とは直接的に結びつかないことが結論付けられた。次に血管吻合部に附着する血小板がANHの発生に関与する可能性を探るために人工血管および吻合部における移植早期の血小板動態をインジウム血小板シンチを用いて検索した。雑種成犬に同様にEPTFE、polyurethane人工血管を移植し、48時間の時点でラベルした血小板を注入、人工血管表面と吻合部への集積をカウントした。polyurethaneはEPTFEに比較し、約2倍の集積を示したが、ANHの発生頻度は低く、人工血管表面に集積、凝集した血小板の多少によりANHが影響をうける可能性は低いものと推測された。今後血小板由来成長因子がANH発生に如何に関与しているかを検討すべく検討中である。
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