研究課題/領域番号 |
01570701
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
佐々木 睦男 弘前大学, 医学部附属病院, 講師 (10005077)
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研究分担者 |
大山 仁 弘前大学, 医学部附属病院, 医員
袴田 健一 弘前大学, 医学部附属病院, 医員
宮城島 堅 弘前大学, 医学部附属病院, 助手 (60221610)
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キーワード | 犬生体部分肝移植 / シクロスポリン / 免疫抑制 / 肝毒性 / 胆管上皮細胞抗原 |
研究概要 |
(1)犬を用いた前年度までの成績では、ドナ-25頭中3週間以上生存例は18頭であり、その後の技術の改良によりその安全性は確立されたと考えられる。一方、レシピエント25頭中1週間以上生存例は12頭であり、最長生存は10日であった。その原因としてはシクスポリンの過剰投与による易感染性や肝毒性に起因するものと考えられた。そこでシクロスポリン代謝を単開腹群、70%肝切群、70%肝切+潅流負荷群について検討した所、1mg/Kg/dayの投与での各群のシクロスポリン血中トラフレベルは、それぞれ平均144.6ng/ml、180.1ng/ml、220.7ng/mlであり、肝容量が減少するにつれて有意に高値を示した。一方、systemic clearanceを術後1週目および4週目に検討した所、単開腹群および70%肝切群では変化は認められなかったが、70%肝切+潅流負荷群では有意の低下がみられた。また病理組織学的検索においても、単開腹群には著変を認めなかったが、70%肝切群、70%肝切+潅流負荷群の順で肝細胞の球形肥大や淡明化の程度が強かった。以上の結果より、30%部分肝移植では、ドナ-およびレシピエントが同体重の場合、シクロスポリン投与量は全肝移植の5mg/Kg/dayでは過量投与であり、1mg/Kg/dayでほぼ十分である。 (2)また、70%肝切+潅流群において術後約1週間目においてGOT、GPTの上昇、これと併行してシクロスポリン血中濃度の上昇が認められた。これまで移植後、約1週間目において発症する肝機能障害は早期の拒絶反応に起因するものと考えられてきた。しかし、我々の実験結果からは、この現象は潅流肝においても発生することから、拒絶反応以外の要因も関与することが示唆された。以上の事実は術後の免疫抑制療法に何らかの改善の必要性のあることを物語っている。(3)平成2年度では更に拒絶反応の機構を解明する目的から、胆管上皮細胞、血管内皮細胞、肝細胞の抗原性について検討するため、各々の細胞を培養することを試みている。
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